⚠️メンテナンス中⚠️狭いベランダは我が森ぞ

言いたい放題な生息記録

タグ:不良

前回、腰抜け野郎について書いていたら、ある人物を思い出したので、今回はそれを書きたいと思います。
高校時代に出会った、ノリ君。彼は、不良に憧れていました。


ノリ君は、誰がどう見ても不健康そうなもやしっ子
ですが、ヒョロヒョロした体を麻薬の影響で痩せちまったから、足を洗ったんだぜ」とアピールしていました。

ただの天然パーマを「やべー、パーマが取れてきちまったな」とアピール。
元々髪が薄いのを「小学生の頃から剃り込み入れてたから生えてはえてこねーんだよ」とアピール。
元々眉毛が薄いのを「ちょっと細くしすぎちまったか。一般人に怖がられちまう」とアピール。
とにかく、『ワルな俺ってかっこいいだろアピール』が凄まじかったです。


とにかくノリ君は、どうしようもない嘘ばかりついていました。以下が主な嘘です。

「暴走族の先輩が、絶対に誰も単車のケツに乗せなかったのに、俺だけは乗せてくれた」
「その先輩は死んだけれど、俺のことだけは認めてくれていた。形見の特攻服が家にある」
「俺が一声かければ三十分以内に五百人集まる」
「中学の頃、髪が全部銀色だった。暴走族の頭をやっていて、シルバーウルフと呼ばれていた」
「気合が入っていたので、昔の写真は笑顔が一枚も無い」
ヤクザの命を助けたことがあり、今でも一目置かれている」



そんなある日、私と友人は、ノリ君の家に遊びに行くことになりました。(特攻服やら昔の写真やら、証拠が見たくて)
ノリ君は「オヤジが帰ってくるとマジでやべえから、夕方までに場所変えようぜ。昨日も喧嘩で窓ガラス割っちまったから」と言っていましたが、無視。あえて夕方にノリ君の家に行きました。

ごく普通の綺麗な一軒家で、窓ガラスひとつ割れていませんでした
そして、ノリ君の部屋は、不良どころか小学生のようなかわいらしさ!綺麗に整頓されており、まるでニッセンのカタログに載っていそうな部屋でした。
スヌーピー柄のベッドや、洗いたてのシーツの匂いが印象的でした。


※イメージ図
snoopy


レゲエとロックしか聴かないと言っていたわりには、CDラックに平和な歌謡曲の背表紙が並んでいました。
私と友人は、形見の特攻服とやらが見たいと言いましたが、「見せちゃいけない掟があって、掟を破るとやばい」だの何だのと誤魔化されました。
昔の写真も、「後輩が欲しがるからみんなあげちまった」とのこと。


しばらく部屋で談話していると、ノリ君のお母さんがオレンジジュースとクッキーを持ってきてくれました。確かルマンドやエリーゼもありました。
ものすごく優しそうで、品の良さそうなお母さんは、「ノリ君と仲良くしてくれてありがとうね」と、にこにこしていました。
その上、「お夕飯、シチューでよければ食べていってちょうだい」と。

リビングに案内されると、お父さんがいました。これがまた真面目そうなお父さんでした。
苦しい!苦しいよノリ君!もう苦しすぎるだろうよ!


お父さんやお母さんが、「ノリ君は学校でどう?」「昔からノリ君はおとなしい子で」「ノリ君、すぐ風邪ひくんだからあったかい靴下履かないと」などと言うたび、ノリ君は気まずそうでした。
私は心の中で『こんな良いご両親がいるのに、シルバーウルフどころか嘘つきオオカミ少年になりやがって』と思いました。


そんな中、友人が言ってしまいました。

「ノリ君ってこうしてると暴走族の頭には見えないですよねー」

その瞬間、空気が固まりました。


お母さんは震えながら泣きそうな顔で「何?何なの?暴走族?」とオロオロ。
お父さんは「学校に不良がいるのか?むりやり何かやらされてるのか?」と険しい顔に。

友人は容赦なく続けます。

「ノリ君って、髪全部銀色だったんですよね?」

お母さんは青ざめた表情で口元をおさえながら、「えっ?どういうことなの?」と。
何かを察したお父さんは、「ノリ、ちょっとあとで話があるからあっちの部屋に来なさい」と。


私は、やさしい味のシチューを急いで食べ終えると、鬼畜な友人を連れて素早く帰りました。
友人は帰り道で大爆笑していましたが、私はご両親の気持ちを考えると笑えませんでした。むしろ大きな溜め息が出ました。


翌日学校で会ったノリ君は、「あれは本当の親じゃないから知らないんだよ。やっかいな事に巻き込まないために、俺は偽りの姿で暮らしているんだ」と言ってきました。
私と友人は「あー、そうなんだー」としか言えませんでした。

ノリ君は、どうしてこんなにほほえましいほど、不良に憧れていたのでしょう。
強くなりたい、強く見せたいと思った時、わかりやすく強さを感じるもの、それが不良だったから?
アイデンティティーを喪失しないように、自分を不良にカテゴライズして、安心したかっただけなのかもしれませんね。

まあ、そんなノリ君も、小学生に絡んで「生まれてきたことを後悔させてやろうか」と芝居がかったセリフを言ったことから、 全友人に見放されましたがね。

私が16歳の頃、友人Mからナス男(18歳)を紹介された。アイパー風の髪型で、虎の刺繍が入った毛玉まみれのトレーナーを着ている、昔の不良っぽい風貌の青年だった。
以来、皆で遊んでいると頻繁にナス男が合流してきたのだが、いつも同じトレーナーだった。きっと、あれが彼の一張羅だったのだろう。


ある日、M宅で遊んでいると、ナス男からMに電話がかかってきた。ナス男はいつものように、「たまたま通りかかって今家の前にいるんだけど」「ちょっと出てきてよ」などと言う。
ドアを開けると、ナス男はなぜか自分の頬をグーで何度も何度も殴っていた

「歯が痛いからよお、それを超える痛み与えて紛らわせてんだ」

バカなアピールにドン引きする私とM。ナス男は続ける。

「怖がらせちまったかい?大丈夫だって、おいら優しいから。な?Mちゃん」

Mが「はあ」と曖昧な返事をすると、ナス男は「おいおい、優しいじゃんよー、誤解されちまうじゃんよー」と、なんだか嬉しそうだった。「俺って怖いかなー?そんなに怖く見えるかなー?」と。


ナス男は、『たまたま持ってきている』という大量の写真を見せてくれた。拝見すると、全部ナス男が一人で映っている写真だった。しかも、自分で撮ったらしきアングルのものばかり。
カラスマスクをしていたり、模造刀を持っていたり、バリエーションは豊かだったが、友達などは一切映っていなかった
私は反応に困った。Mはもう何度も見せられているようだった。


そう、ナス男には友達らしき友達などいなかった。
無理してビップカーを買った時、しばらく地元の後輩やら先輩やらが寄ってくるようにはなったが、それは友達ではなかった。誰もがタクシーとして使ったり、車を借りにくるだけ
先輩とやらに車上荒らしをされたこともある。確実に犯人は先輩だとわかっているのに、ナス男はヘラヘラへコヘコして見過ごしていた。
何を隠そう、ナス男は『不良』などではなく、不良に憧れるただの不良漫画が好きな気弱っ子。格好だけの、コスプレイヤー。戦う術など知らないのだ。



そんなある日、私がバイトを終えて外に出ると、ナス男がいつものトレーナーを着て待っていた。
「話したいから10分だけ時間ちょうだい。5分でいいから。2分だけでも」
そう言われて駅前のベンチに腰掛けると、ナス男は独り言のようにこう言った。
「あーあ、アルコちゃんがおいらの女になってくれたらなー」
女という言葉にイラッとする私。
「女いないの仲間内でおいらだけだもんなー」

その時だった。
体の大きなパンチパーマのおっさんが駅から近付いてきた。
ぶっとい金のネックレス、刺青の入った腕、見るからにヤクザ。もしくはヤクザ崩れ。
おっさんは酔っ払っているようで、私とナス男を交互に睨むと、こう怒鳴った。

「おい、おまえら誰に断って座ってんだよ!どかんかい!俺の席だろうが!」

私がナス男をちらっと見ると、ナス男は目を合わせないように下を向いていた。しかも、小声で「謝って、謝って」と私に言ってきた。
頭にきて無言で立ち上がると、なぜかナス男も立ち上がった。おっさんは更に絡んでくる。
「くそガキ!誰に断って座ってんのか聞いてんだろうが!」
おっさんに怒鳴られたナス男は、真っ青な顔をしながら答えた。私を盾にしながら

yakuza

「こいつが座ろうって言ったんですっ!こいつが座ろうって!」

私はナス男の腰抜けっぷりに唖然とした。
「おいらはヤクザなんて怖くねえ」だの「実際ヤクザは優しいよん」だの、いつも言ってなかったっけ?

私は、大きな野太い声で、ナス男に怒鳴った。
「ふざけんな!金玉ついてんのかよ!」

ちょうどその時、生活に疲れた感じのおばさんが駆け寄ってきておっさんの腕をつかんだ。奥さんだろうか?
「何やってんのよ、もう!やめて!お願いだからやめてちょうだい!お嬢さんごめんなさいね、無視して行ってちょうだい!まったくもう!」
ナス男は凄い速さで逃げていった。


翌日、ナス男から電話で「昨日は大丈夫だった?いやー、あれは作戦だったんだよ」だの何だの言い訳をされた。
私は電話を切るとすぐに着信拒否。それ以降、ナス男とは一切関わっていない。
あんな腰抜け、友達にもなりたくない。

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