以前、悪質なペットビジネスについて書いた際、身勝手な理由でペットをお払い箱にする人間についても触れました。

世話が大変だから。吼えたり噛んだりするから。芸をしないから。もう流行りの犬種じゃないから。大きくなったから。他に飼いたいペットができた。ペットが妊娠してしまった。大家さんにバレた。病気になったetc.

無責任な飼い主と、非道な繁殖と販売をする業者。その間で翻弄される愛玩動物
需要と供給が成り立っている以上この先も続く、人間にとっての「恥の歴史」だと思います。

流行というものは恐ろしいですね。

服でも何でも流行りが廃れれば大量の廃棄と化しますが、命まで左右されてしまうなんてとんでもない世界ですよ。


以前こんなことがありました。

「さみしいから犬を飼おうと思う」と、知人男性Aに言われ、私は反対しました。
Aが単身赴任中でペット禁止のアパートに住んでいる上、早朝から夜まで仕事で家を空けていることを知っていたからです。
それに、Aには犬を飼育する上での知識がありませんでした。と言うより、勉強する気さえ無かったのです。
「残飯あげればエサ代かからない」とか「ほとんど家の中にいるんだから予防接種なんかしなくても平気」とか、とにかくお金をかけずに済ませたいようでした。

周りがどう言おうと、Aの『犬が欲しい』という欲望は強まるばかり。飼いたい犬種も毛色も決まっており、良い店とは言い難いペットショップをハシゴして、ついに仔犬を値切ってローンで購入してしまいました。

Aはしばらく仔犬の写真や動画をメールでせっせと送ってきました。
ちゃんとかわいがっているようで良かった、とは思いました。
しかし、なんと翌月には「家を空けてる間一匹じゃかわいそうだから、もう一匹欲しい」と言い、すぐに買ってしまったのです。

それから数ヵ月後でした。Aが「犬をもらってくれないか?」と言ってきたのは。
連休中に仔犬2匹を連れて妻子の元へ戻った際、奥様に「かわいくないから連れて帰ってこないで」と言われたのだと。
私は最初「ひどい奥さんだね」なんて言ってしまいましたが…

真相はこうでした。

以前Aは奥様に、単身赴任先のアパート内で撮った仔犬たちの写真を何枚かメールで送っており、その中にAの浮気相手の足が少しだけ写ってしまっている写真があったのです。
つま先が少し写っている程度とは言え、ペディキュアをしているのですぐに女だとバレたそうです。
犬に罪は全くありませんが、奥様が「浮気相手と一緒に可愛がった犬を連れて帰ってくるなんてふざけるな!」となるのはしょうがないです。

結局、Aは仔犬たちを自分の実家に押し付けました。「ど田舎だから庭も広いし、あいつらも幸せだろう」と。

しかし、悲劇はまだ続きます。
Aは仔犬たちを手放してから約一ヶ月後、再び「さみしいから」と別の仔犬を買ったのです。
なぜ前の仔犬たちを実家から呼び戻さないのかと聞くと、「あいつらはもう大きくなってきたし、田舎暮らしのほうがいいだろ」と。


何から何まで酷い話でしょう。
生き物を飼う時は、自分がそれに値する人間なのか、精一杯近付く努力ができるのか、よく考えてほしいものです。